• AI診断支援

当院は小児医療の基幹病院であり、重症細菌感染症に罹患した多くの患者さんの診療にあたっております。重症細菌感染症の治療において重要なことは、発症早期に細菌の菌種を同定し、その菌に対して有効な抗菌薬を早期に投与することです。


しかし、菌種同定までには早くとも2日以上の時間を要してしまいます。私たちは、AI(人工知能)を用いることで細菌を顕微鏡で観察した「見た目」から、細菌の菌種を迅速に同定することのできる診断支援システムの開発を2019年度から病院と研究所が一体となって取り組んでおります。この技術によって、世界中どんな病院でも高い精度で重症感染症の原因菌を早期に診断することができ、適切な治療をより早期に開始することに繋げられる可能性があります。


これにより、医療の質の向上、医療費の削減、人的負担の軽減、感染症教育の充実が期待されます。また、適切な抗菌薬の使用が可能になることで、世界的な喫緊の問題である微生物の薬剤耐性(antimicrobial resistance: AMR)対策の一助となりえることが期待されます。