• 遠隔/在宅医療支援

急性期治療後に、生命や健康の維持のために医療的ケアを必要とする小児(医療的ケア児)の数が、約2万人となっている。医療的ケア児の多くは、状態が不安定であり、頻回の救急外来受診や、入院を繰り返すことも珍しくない。主な介護者であることの多い母親に重い介護負担に加えて、家庭だけでなく、家庭以外の児童発達支援や学校などの生活の場においても、子どもの健康状態を的確に判断することの責任を持つことも大きな負担となっており、子どもと家族が深い孤独感を感じる一因となっている。


そこで、本研究では、正常の小児とは異なる病態特性を持つ重症小児在宅患者の健康状態の判断を、ICT及びAI技術を活用して、保護者以外の子どもに関わる人たちが迷うことなく答えることのできる問診と心拍数、体温、酸素飽和度などの測定値を用いて小児在宅患者の健康状態の判定支援ツールの開発を目指している。


本研究で開発したツールは、保護者への体調不良判断の教育ツール、子どもに関わる多職種との情報共有にも利用可能と考えられる。この支援ツールによって、医療的ケア児を受け入れ施設の拡大が可能となれば、社会活動にも積極的に母児が参加することが可能となり、心身面だけでなく、経済面においての支援にも寄与できる可能がある。